判決への道程 その5 誤魔化している証拠!
2022.03.17
「次期 農協理事が推薦される 心に刺さるだろうか」
「難しくしているのは誤魔化している証拠」
本当に何も知らない生産者が救われない請求事件で終わって良いのだろうか? 関心を示さないでは無く理解できないからではないか? と自問したときに、裁判を通して段々明らかになってきた今だから伝えられる、農協のコメ精算の実態をひとりでも多くの農家の方に伝えようと、パンフレットを作りました。
このブログでもなぜ請求するのか? 裁判の争点は何か? 農協は生産者からどのように搾取してきたのか? など、パンフレット内容を基にプラスする形で分かりやすく説明します。庄内みどり農協に騙された4千数百名を超えるコメ売渡農家の皆さんの一助になることを願います。
1.未払金請求事件とはどんな裁判ですか
事の発端は平成21年産米が下落して、出荷時の概算金に過払いが発生した品種がでてきました、しかし農協は全農から返還請求された品種だけからでなく、すべての品種から同額の引き落としを行いました。その時、消費者と値段を決めている品種からも引き落とすことに反対した有志たちが、疑問を持ち調べていくうちに、約定に書いていない控除項目を指摘し返還を求めました。交渉では阿部前組合長が農協に問題があったことを認め、「3億7千万円をお返しするので理解してもらいたい」と不正な精算を認め謝罪しました。ところが、農協は生産者の合意のもとに行った精算であり問題ないと、これまでの発言を取り消したのです。その後も、農協が生産者へ米代金を全額支払わない精算を続けたため、私たちは裁判所の判断にゆだねることとしました。現在130名の生産者が9,100万円の支払を求めています。
2.約定書(契約書)に沿った精算とは
私たち生産者は、毎年農協との間で個別の米売渡委託販売・出荷契約を結び、その契約に沿って農協は米の販売や精算を行います。内容は細かく規定されており農協が勝手に決め精算などを行う事は出来ません。しかし農協は、その約定書に記載が無いにも関わらず、本来生産者に支払うべき販売代金から勝手に「直販メリット」「米販売・生産対策費」を控除し、同意なしに口座から直接「倉庫利用料」と称して引き落としを行いました。さらに、裁判の途上で検査手数料の二重計上も明らかになって請求を追加しました。
農協への委託販売というのは販売先と販売金額のみを委託しているのであって、農協はその業務で「農協手数料」を得ています。それ以外は2重計上で「第2の農協手数料」と言わざるを得ません。委託販売とはその販売額から実費を控除した残額をもって精算額とします。そのとき、控除する実費は出荷契約時に項目が書かれていて、品種別制度別に各生産者に同じ代金で支払われるものです。
これらは「共同計算」といわれていて、全農が定める基本要領等に明記されている内容で仕組みは全国の農業協同組合で同一です。共同計算では生産物の出荷に要する費用はすべてまかなわれています。倉庫利用料、販売対策費、検査手数料などを共同計算外で徴収することは想定に無いことです。全国で庄内みどり農協だけは他の農協と異なり、長い間、約定書に沿った精算と共同計算に則った実費だけの控除を意図的に行ってきませんでした。
3.直販メッリトとは
庄内みどり農協が「農協手数料」の他に米代金を農協の収益にするために考えた精算方法です。直接販売をすることによって、全農委託との差額を言うらしいのですが、いかにも儲けたと生産者に錯覚させる言葉で、約定書に一切記載はありません。他の農協では行われていません。さらに、農協が米代金の一部である「直販メリットの半分」を農協の収益にしていた事の説明もしていません。もちろん、私たち生産者は合意もしていませんし、記載が無いため合意も出来ません。
農協の計算では、平成25年産米「はえぬき」の直販メリットは、1俵当り1,012円になり、その半分506円を生産者の了解もなく農協の収益としていました。これは農協手数料を超える金額を徴収したことになります。この平成25年産米だけで直販メリットは4億円を超える控除を行い、その半分、2億円を超える報酬を農協は不法に雑収入として取得しているのです。
4.販売対策費とは
正式には「米販売・生産対策費」といわれていて、基本的に約定書に記載が無く、あった場合でも約定書に沿った使われ方が行われていません。全農は長い間販売対策費が正しく使われていないことから、平成18年産米から販売対策費の徴収を行わないことに決めました。しかし、庄内みどり農協はその後も毎年7,000万円を超える販売対策費を共同計算外で徴収してきました。
農協の裁判資料によれば、毎年職員の給与として2,600万円を流用、さらに飲食を伴う接待交際費用に約300万円を使用しています。農協がこれまで、使用した金額は20年間で約14億円にもなります。
全農は販売対策費として支出の合理性・透明性の確保が困難で、是正ができないほどの問題点が深刻化したので廃止に踏み切りました。庄内みどり農協が全農の通知・指導を顧みず販売対策費を維持し続けた理由は、「第2の農協手数料」として湯水のごとく使いやすい費目だったのです。
農協が裁判経過で原告からこの費目の求釈明をうけて提出した資料には、上記述した「職員給与」への流用や、商談と称して私たちが税務署にも認められない飲食を伴う「接待交際費」なども平然と並び、果ては「叙勲祝い金」など呆れる費目が多数あり、その資料に書かれている相手先は黒帯で目隠しされて読めないようにしていました。組合員にも見せられない問題だらけの販売対策費だからこそ全農は平成18年に廃止としたのです。これがなぜ庄内みどり農協には残ったのか? 残さなければならなかったのか? その理由は組合員への情報開示で必然的に解明されるはずです。
5、倉庫利用料とは
販売対策費同様に約定書に記載もなく、さらに共同計算からも保管費として徴収しており、庄内みどり農協では他の農協と異なり、2重徴収を行っています。
さきほども記述した「委託販売」の実費にあたる「共同計算経費」には、「流通・保管に関する経費」とあり、約定書でも明記されています。それも全農が基準を定めているので、倉庫関係の必要経費はすべて賄われるように設定されています。ちなみに、平成18年産米は約2億4千万円、19年も2億4千万円、20年は2億6千万円、21年は3億2千万円、以下25年まで省略しますが、毎年巨額の保管料を共同計算で使っているのに、農家の口座から直接「倉庫利用料」名目で勝手に引き落とすなど言語道断であります!
これまで裁判でこの使途を求釈明しても、具体的に示す明確なデータは未だに出していません。出せないのです。そして、この「倉庫利用料」名目で引き落とした金額は臆せず農協の「その他収益」に繰り入れています。
これらは生産者に全く知らされていません。裁判所に提出した資料によれば、「倉庫利用料」についても、「販売対策費」同様職員給与に流用されていました。
このように約定書に沿ったコメの精算を求める裁判ですが、確かに「販売対策費」と「倉庫利用料」名目で記載のあった年産米があります。しかし、たとえ記述がある年産米の約定であっても、実費であり使途が明確化されている共同計算経費との2重経費にあたる販売対策費と倉庫利用料は認めるわけにはいきません。これは農協による経費の控除と言わず、勝手に預金口座から引き落とされた「不当利得」なので、約定書にある年産米においても請求します。
6、未払金請求額はどのくらいになりますか
品種によって異なりますが、未払金が圧倒的に多いのは、酒田市の生産者が多く売渡しているはえぬきです。その為、はえぬきを例に試算してみます。年間200俵前後の出荷があり、8年間で約1500俵/60㎏を出荷した方の請求額は、約124万7千円になりました。売渡農家全員をみると、総額約14億円にもなるようです。
なお、他の品種については、「いいおにぎりの会」ホームページからメール欄がありますのでお問い合わせください。
7、私の未払金請求額はどのくらいになりますか
※私たちの主張を基にはえぬきで項目計算したものです。自動計算はできませんが出荷俵数を入れてみてください。驚くほどの金額になるのではないでしょうか? これほど生産者のコメ代金から搾取したら表面上の経営は安泰です! ある農協元役員の方が「麻薬のようなものだった」と止められない心境を吐露したそうです…⁉。
8、最後に・・・
庄内みどり農協はなぜか裁判の争点について、総代会や集落座談会でも内容の説明を行ってきませんでした。前回総代会で総代からの質問に対しても、「約定に記載があるか無いかです」と答えるだけでした。それは、争点を詳細に説明することによって、約定書に沿った精算や共同計算が行われていないことが明確になるからです。また、返金を求める生産者やあらたに裁判に参加する生産者が増えることを一番嫌がったためと思われます。
庄内みどり農協は組織の存続意義を棄て組合員の利益より、農協の利益を優先することを選択しました。この様な状況を正すためにも、ぜひ私たちと一緒に農協に対し「約定に沿った精算」を求めてみませんか?
なお、計算した金額が全て返金されるとは限りませんが、未払金請求額は私たちがこの裁判で農協が出した裁判資料の精算書などを精査して行き着いた結果であり、その主張を基に計算したものです。
私たちは裁判を通して今後も「約定に沿った精算」を求めてまいります!
ご質問・ご意見は「いいおにぎりの会」のHP(e-onigiri.net)よりお願い致します。
庄内みどり農協の未来を考える会
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