弁論更新にあたり原告陳述
2017.06.19
6月9日、第5回口頭弁論が山形地方裁判所鶴岡支部 第1号法廷で行われました。今回から人事異動により裁判長が交代したということで、あらためて3名の裁判官に原告の主張をご理解いただこうと陳述を行うことにしました。
以下が原告代理人・原告代表者それぞれの陳述内容です。
原告らは被告庄内みどり農業協同組合の組合員です。すでに3陣、合計48名(4+25+19)が提訴し、なお多数の組合員が提訴準備中です。原告らは個別出荷契約で合意されていない控除金額の支払いを求めていますが、被告はこれに応じようとしません。本件の焦点は極めて明確です。被告以外の農協では行われていない異例かつ違法な方式を早急に改め、農協本来の民主的運営が確立されることが、本件提訴の真の目的でありますので、よろしくお願いします。
原告代理人 脇山弁護士
約定に沿った精算を求め、私たち農家が起こした提訴も1年が経とうとしています。足掛け4年近くをかけた「米販売代金の精算方法」の解明ですが、質問しても問題の本質に触れず掛離れた回答や詭弁、更には個人情報の漏えいや裁判を受けさせない様な圧力もありました。
原告4名でのスタートでしたが、時が経つと共に、今まで行われてきた精算方法を疑問視する仲間も増えて100名に届こうとしています。第1回口頭弁論で「合意」があったと被告側が言い続けた文書ですが、原告代理人の質問に対し、被告代理人自ら「法的に効力のある合意文書ではない」と言明されたのを私たちは忘れていません。
平成18年9月に農水省から通達があった「事務ガイドライン」ですが、全国の農協に対し統一した内容なのに、庄内みどり農協では「独自の解釈と精算」が恒常化していました。コメ余りで市場価格が低迷し、全農から「過払い金返金要請」があった21年産米では、高く販売できて「追加精算」があるべき品種からも控除されたり、取り扱ったコメの品種間では「販売価格の品種間移動」が確認できました。勿論、先の事務ガイドラインでは禁止されている精算方法です。
今年1月24日の第3回、3月27日の第4回口頭弁論の場では、裁判長から「いつ、だれが、どのように・・・」で始まる、「5W1H」の証拠の提出が被告側に求められていました。もし、農家と農協との間に交わされた文書があるのなら提出に半年近くも期間を要するものでしょうか・・・。私たち農家は、農協との信頼関係の上に成り立つ職業です。米の「個別出荷契約書」に関しては署名と捺印が求められる「正式な契約書」です。そこに記載されている約定は履行されるのが当然であると共に「約束は守られるべき」との重要さを持つものです。勿論、毎年新たに契約書を取り交わすということには、「約定に記載されていなくても知っていたはず・・・」と、被告の言う「黙示的合意」などという都合のよい解釈はできません。
何度も重複しますが私たち原告が求めるものは、「米売渡契約書」に記載された約定と他農協のように「農水省事務ガイドライン」に沿った精算方法を取ってもらいたいという事に尽きます。なぜ、「庄内みどり農協」はそれができないのでしょうか・・・。なぜ、私たち原告の要望を聞くどころか数々の圧力をかけてまで追い込もうとするのでしょうか・・・。全国の多くの農協のように「農家と農協が一丸となって」次の時代に繋げられる農業で在りたいと思うと共に、「法を守り法に守られる」のが個人であり組織であると考えます。合併により巨大化した農協ですが、元は1人ひとりの組合員の出資によって作られた農協です。いまは100名弱の原告とはいえ、以前から米代金の精算方法を疑問視する農家たちです。そして「今後も約定に沿った精算」を求めていく、庄内みどり農協の組合員です。
原告 佐藤 清
多数の傍聴人がいるにもかかわらず静かな法廷内に響き渡る原告代表の陳述は、決して高ぶらず淡々として落ち着いた声は聞きやすく心に迫るものがありました。3名の裁判官、特に裁判長の左側に御座りになられている本訴訟の担当裁判官が原告代表の陳述に何度も頷きながら聞き入っている様子が印象的でした。
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